1. ヘモグロビンの働き:全身への「酸素の配達員」
ヘモグロビンは、赤血球の中に大量に含まれているタンパク質の一種です。最大の役割は、「肺で受け取った酸素を、全身の細胞へ送り届けること」です。
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【図解】酸素運搬の仕組み
(肺で酸素とがっちり結合し、酸素の少ない組織にたどり着くと切り離して細胞に分け与える)
ヘモグロビンは酸素の多い環境(肺)では酸素と結合し、酸素が少ない環境(筋肉や内臓などの組織)にたどり着くと、結合していた酸素を切り離して細胞に分け与えるという、特殊な性質を持っています。
2. 鉄分の役割:酸素をキャッチする「磁石」
ヘモグロビンはどうやって気体である酸素を捕まえているのでしょうか?ここで必要不可欠なのが「鉄分」です。
ヘモグロビンは、構造を細かく見ると「ヘム」という赤い色素と「グロビン」というタンパク質が結合してできています。この「ヘム」の中心に1個ずつ組み込まれているのが鉄イオン(鉄分)です。
- 酸素を引き寄せる磁石: 鉄分は、酸素と非常に結びつきやすい性質を持っています。ヘモグロビンの中で、実際に酸素をペタッと吸着させる「磁石」の役割を果たしているのが鉄分です。
- 血液が赤い理由: 鉄が錆びると赤くなるのと同じように、ヘモグロビンの中の鉄分が酸素と結びつくことで、血液は鮮やかな赤色になります。
つまり、鉄分がないと、ヘモグロビンは酸素をキャッチするポケット(磁石)を作ることができません。
3. 貧血の状態とは?
医学的な貧血とは、朝礼でクラッと倒れるような一時的な血圧低下(脳貧血)とは異なり、「血液中のヘモグロビンの濃度が基準値を下回り、全身が酸素不足になっている状態」を指します。
🔴 🔴 🔴 (正常) ➔ ⚪ 🔴 ⚪ (貧血)
【図解】正常な血液と貧血状態の比較
(貧血になると血液中の赤血球の数やヘモグロビンの量が明らかに減少します)
なぜ貧血が起きるのか(メカニズム)
貧血の原因の約70%は、体内の鉄分が不足することで起こる「鉄欠乏性貧血」です。
- 食事からの鉄分不足や出血により体内の鉄が減る。
- ヘモグロビンの材料(磁石)が足りなくなり、正常な赤血球を十分に作れなくなる。
- 血液中のヘモグロビン濃度が薄くなり、全身に運べる酸素の絶対量がガクンと落ちる。
貧血になると体に現れる症状
酸素は細胞がエネルギーを作り出すための燃料です。そのため、貧血(酸素不足)になると体はエネルギー切れを起こし、次のようなSOSサインを出します。
- 動悸・息切れ: 少ない配達員(ヘモグロビン)でなんとか酸素を回そうとして、心臓がポンプの回数を増やし(動悸)、肺が必死に酸素を取り込もうとする(息切れ)ためです。
- だるさ・慢性的な疲労感: 筋肉や各器官に十分な酸素が行き渡らず、エネルギー不足になります。
- 頭痛・めまい・立ちくらみ: 酸素消費量が全体の約20%を占める「脳」が酸欠を起こすためです。
- 顔色が悪い・爪が割れやすい: 皮膚の毛細血管を流れる赤いヘモグロビンが減るためです。